2023年4月18日

緊急避妊薬について

緊急避妊薬について

アフターピルと言われる緊急避妊薬。
望まない妊娠を予防したい女性にとってとても重要な薬です。

医学的に禁忌となるものはほとんどなく、
年齢制限なく誰しもが手にする権利を持っているものです。


妊娠は、男女双方によって生じるものですが、妊娠による身体、精神的ダメージを被るのは主に女性です。そのためピルやコンドームなどで予防をしてはいるはずですが、様々な事情でうまくいかない事例もあるかと思います。

コンドームが破れていた、ピルの飲み忘れがあった、またあってはならないですが、性暴力があった、どうしても断れなかったなど、様々な事情で緊急避妊薬が必要になることがあると思います。

緊急避妊薬に後ろめたさを感じる必要は全くなく、かといってオンライン診療で手軽にとは言いませんが、誰しもが手にする権利を持っているものです。

また医学的に、禁忌となるものはほとんどなく、年齢制限なくすべての女性が安全に使用できるものです。

緊急避妊薬の内服には2種類あります。

  • 1.レボノルゲストレル単剤 レボノルゲストレル錠1.5㎎単剤を1回内服します。 性交から72時間までが効果があると言われ、早ければ早いほど効果が高いです。
  • 2.Yuzpe法 中用量ピルを72時間以内に2錠内服し、その後12時間後にさらに2錠内服します。

当院では基本的に①を採用しています。理由は妊娠阻止率が高いことと内服が1回でよいため簡便であり、副作用も少ないためです。
コスト的には②の方が安いですが、特に理由がなければ①を処方します。

  • 妊娠阻止率
  • 副作用発現率

注意点

注意としては、100%の阻止率ではないことです。
24時間以内に内服ができたとしても阻止率は95%です。そのため、月経予定日を1週間以上過ぎても生理が来ない場合、または内服後21日経過しても生理が来ない場合には妊娠反応検査をしてください。

アフターピルの副作用

  • 月経周期の乱れ
  • 不正性器出血
  • 嘔気
  • 腹痛
  • 頭痛
上記が起こることがありますが、一時的なことがほとんどのため、1日経過すれば改善することが多いです。 月経周期もその周期が内服薬の影響でずれるだけで、以降はまた元の周期で生理がきます。

対面でのお渡しを推奨します

アフターピルはなるべく早く内服した方が良いことから、対面でのお渡しを推奨します。

オンライン診療だと実際に薬が手元に届くのに早くて受診してから翌日になります。しかし今後電子処方箋の実用が進めばそれも改善する可能性があります。

緊急避妊薬を飲んでしまったが、妊娠してしまった場合

薬剤は胎児への奇形や悪影響はありません。緊急避妊薬を飲んだけれど妊娠してしまい、そのまま妊娠継続を考えている場合は特に大きな問題はありませんので心配なさらないでください。

最終性行為から72時間以上経過してしまった場合

妊娠する可能性は高くなりますが、内服することは可能です。
また、その他の方法として銅付加避妊部具を挿入する方法もありますが、当院では行っておりません。

性暴力に遭われた方

ワンストップ支援センターへのご連絡を推奨します。センターは、性犯罪や性暴力支援者に必要な支援が一か所に集められた窓口で産婦人科医、カウンセリング、捜査、法律相談等の専門機関と連携しており、1都道府県に1施設設置されています。

性感染症の検査や診察に必要な費用の助成を受けることもできます。

●ワンストップ支援センター #8891
(発信場所から最寄りの施設につながります。)
●内閣府 DV相談 0120-279-889

よくあるご質問

緊急避妊薬を内服すると将来妊娠しにくくなる?
将来の妊娠への影響や、不妊症のリスクなどはありません。
内服後に不正性器出血がある場合はありますが、その後の生理周期や妊娠への長期的な影響はありません。
何度も緊急避妊薬を使用しても大丈夫?
何度使用しても問題ありません。ただし頻回にそのようなことが起こる状況なのであれば普段から低用量ピルの使用を推奨します。
緊急避妊薬を機に低用量ピルを始めたい。
翌日から使用可能です。
授乳中でも緊急避妊薬は使用できる?
添付文書上は、「本剤の投与後24時間は授乳を避けるよう」と書いてありますが、実際女性ホルモン剤は母乳へ移行するとは言われていますが、非常に量が少ないこと、新生児には影響がないことから、まったくダメというわけではありません。説明の上、授乳を継続する選択肢もあるかと思います。

ピルの種類

ピルの種類

ピルとは?

英語でピルと言えば、錠剤、丸薬のことを定義しますが、世界的にも経口避妊薬の代名詞として通用しているようです。

日本でのピルとは、女性ホルモンであるプロゲステロンとエストロゲンの合剤で月経コントロールや避妊目的で使われる薬を指します。

エストロゲンの量によって低用量ピル、中用量ピル、高用量ピルに分類されますが、世界的にも高用量ピルは使用されなくなっています。
低用量ピルについて

低用量ピルについて

皆さんがよく耳にしているピルは低用量ピルのことです。エストロゲンの量が少ないため、血栓症のリスクを下げ、服用しやすいものになっています。

低用量ピルにはOCとLEPがあります。

OCは避妊を目的とした自費診療の薬剤で、LEPは月経困難症や子宮内膜症の治療としての保険診療の薬剤です。

OCとLEP

どちらもエストロゲンとプロゲステロンの合剤であることに変わりなく、経口的に一定量のエストロゲンとプロゲステロンが血中に保たれるため、脳から自分自身は女性ホルモンを作らなくてよいという指令が入り、結果として排卵抑制、子宮内膜の菲薄化を保ち、避妊効果と月経困難症の改善をもたらします。

低用量ピルの種類と特徴

低用量ピルとはエストロゲンとプロゲステロンの合剤であることは確かですが、
ピル製剤はその量や種類に違いがあります。

違い1

上で記載の通り、まずOCとLEPがありますが、これは避妊目的か保険診療かの違いです。

違い2

含まれているエストロゲンは、EE(エチニルエストラジオール)が全て共通していますが、1周期に含まれるトータルEE量が違います。
中でもヤーズ、ヤーズフレックス、ルナベルULD、フリウェルULDはEE量が30μg以下であり、超低用量ピルと言われます。

違い3

それぞれの特徴を紐づける重要な違いが、プロゲステロンの種類の違いです。
プロゲステロンには第1世代~第4世代までの種類があり、新しい方が良いというわけではなく、それぞれに特徴があるため自分に合ったものを選ぶのが良いです。

第1世代:ノルエチステロン(NET)

1960年代に開発された黄体ホルモンで最も歴史が古いもので、長い期間使用しても安全が保障されておりデータが十分にあるものです。不正性器出血は比較的起こりやすいです。

第2世代:レボノルゲストレル(LNG)

血栓症のリスクは低いですが、ニキビや浮腫の副作用は比較的高いと言われています。

第3世代:デソゲストレル(DSG)

ニキビが抑えられ、不正性器出血も少ないですが血栓リスクは少し高いと言われています。

第4世代:ドロスピレノン(DRSP)

抗アンドロゲン作用により、ニキビや皮膚の荒れの改善効果が高いです。
PMSの改善に効果が高いと言われていますが、抗アンドロゲン効果により、性欲の減衰や、意欲の低下等の報告もあります。

第1世代ピルルナベルLD、フリウェルLD、ルナベルULD、フリウェルULD、シンフェーズ
第2世代ピルジェミーナ、アンジュ、トリキュラー、ラベルフィーユ
第3世代ピルマーベロン、ファボワール
第4世代ピルヤーズ、ヤーズフレックス、ドロエチ

違い4

1相性か3相性かの違いがあります。以前は2相性のものもありましたが、現在はありません。
1相性のものとは、エストロゲンとプロゲステロンの量が全ての錠剤で同じ量入っており、1周期中でその投与量が一定を保たれるものです。
3相性のものは自然のホルモンの変化に合わせて作ったもので、1週間目、2週間目、3週間目で錠剤に含まれるホルモン量が異なります。
1相性は錠剤ごとの成分が同じなため月経移動がしやすく、飲み忘れなどがあってもどこから始めても構わないメリットがあります。
3相性は、不正性器出血の頻度が少ないと言われますが、錠剤ごとにホルモン量が違うため細かな調整には向きません。

違い5

スタート方法の違いがあります。
基本的には月経初日に内服することがほとんどですが、シンフェーズのみSundayスタートという飲み方を採用しています。イベントの多い土日に出血が起きないようにという目的で作られています。

違い6

続ける上で重要な大きな違いは値段です。
基本的に古い薬の方が安いです。そして後発品(ジェネリック)の方が安いです。
基本的には成分は同じのため後発品の方を推奨しています。
まれに、後発品でも錠剤として固めるため、薬剤そのもの以外の成分により、副作用の出方に違いがある方がいます。個人差や好みもあるため、その場合は先発品でもいいと思います。

違い7

連続投与日数の違いがあります。
保険ピルに関して、最近は連続投与というものができるようになりました。以前までは基本は21日実薬を飲み、7日間の休薬もしくは偽薬というサイクルでしたが、この休薬中に月経困難症がある方は症状の悪化をきたす場合があったため、実薬の内服を続けることで、ホルモン量を一定に保つことができ(図参照)症状の改善を期待することができるようになりました。ちなみにヤーズのみ24日実薬というサイクルでした。

スクロール

OCLEP(1相性のみ)
1相性
第3世代:マーベロン→ファボワール(後発品)
3相性: 第1世代:シンフェーズ
第2世代:アンジュ、トリキュラー→ラベルフィーユ(後発品)
第1世代:ルナベルULD、LD→フリウェルULD、LD(後発品)
第2世代:ジェミーナ
第4世代:ヤーズ→ドロエチ(後発品)、ヤーズフレックス

お気軽にご相談ください

上記ピルの違いを説明しましたが、それでもやっぱり難しい、よくわからないという方はいつでもご相談ください。
オンライン診療でいつでもピル相談(3,000円)を受け付けています。

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