性感染症

性感染症

性感染症

性感染症は、性行為や血液を介して感染する病気の総称です。
下記に紹介するのは、性器に異常が現れる性感染症について説明します。


クラミジア感染症

クラミジア感染症

クラミジア感染症は、クラミジアという細菌によって引き起こされます。主な症状は尿道炎や子宮頸部炎であり、排尿時の痛みや異物感、不正出血などが現れることがあります。パートナーが陽性の場合や、自分が陽性の場合にはお互いに検査をし治療をすることが大切です。

症状はわかりにくく、無症状と感じる人もいますが、放置すると腹膜炎をきたすこともあるので早期発見、早期治療が重要です。

クラミジアの潜伏期間は1~3週間ほどです。そのため陽性の人と性交渉後、しばらく経ってから症状が出ることがあります。

検査 クラミジアの検査は通常はおりもの検査で確認しますが、オーラルセックスなどにより、のどに症状が出ることもあります。その場合はうがい液で検査をします。膀胱炎をきたす場合には、尿検査で確認することがあります。

治療

①アジスロマイシン1000㎎(先発ジスロマック) 250㎎錠を4錠1回で内服します。 ②(①で陰性にならない場合)クラビット500㎎ 1日1錠 7日間

内服治療後3週間後、治療効果判定のため検査を再度行います。
セックスパートナーの治療も終了し、お互いに陰性となったら性交渉再開可能です。

淋菌

淋菌

淋菌感染症(淋病)は、淋菌という細菌によって引き起こされます。主な症状は尿道炎や子宮頸部炎であり、排尿時の痛みや異物感、粘液や膿の排出がみられることがあります。男性は症状が現れやすく、痛みを感じます。女性の方が症状を感じにくいです。

淋菌の潜伏期間は2~7日ほどです。陽性の人との性交渉後数日で発症します。

検査 おりもの検査で見つかることが多いです。排尿時痛があれば尿検査をすることもあります。オーラルセックスなどにより、のどに症状が出ることもあります。その場合はうがい液で検査をします。

治療

①トロビシン筋肉注射 殿部などに1回注射で治療終了です。

治療効果判定のため2~3週間後に来院して再検査します。
セックスパートナーの治療も必要です。

梅毒

梅毒

梅毒は、梅毒トレポネーマという病原体によって引き起こされる性感染症です。初期症状は潰瘍や発疹が現れ、放置すると内臓や神経にまで影響を及ぼすことがあります。

梅毒は性行為や血液を介して感染し、放置すると死に至ることもあり、早期発見と治療が重要です。胎児感染は重大な問題となるため、妊娠初期検査に必ず含まれている項目です。

検査 血液検査でわかります。
頻繁に検査を行う必要はありませんが、不特定多数のパートナーがいる方や、職業上検査をした方が良い方などにも推奨します。

治療に関しては、

①感染時期
②ペニシリンアレルギー
③神経梅毒の可能性
④妊娠

などに留意して選択します。

治療

①アモキシシリン1回500㎎ 1日3回 4週間投与 ②持続性ペニシリン筋注製剤 ベンジルペニシリンベンザチン水和物(ステルイズ)1回臀部筋注(後期梅毒の場合は1週間ごとに計3回筋注します)

治療効果判定は1か月後、3か月後、6か月後に血液検査を行い、きちんと治癒したかを確認します。

トリコモナス

トリコモナス

トリコモナスは、トリコモナス原虫によって引き起こされる性感染症です。女性では膣炎やおりもの異常、男性では尿道炎が主な症状として現れます。トリコモナスは性行為によって感染することが一般的ですが、まれに心当たりが全くない場合にも感染することがあり、お風呂やプール、タオルや下着を介して感染する報告もあります。無症状のこともあり、幼児に感染することもあります。

治療

①フラジール内服錠250㎎ 1日2回10日間 ②難治例:フラジール内服錠250㎎ 1日2回10日間+フラジール膣剤1錠 14日間 ③上記で治療しない場合はフラジール250㎎ 4錠1日1回5日間

治療効果判定は2-3週間後に再検査します。
セックスパートナーの治療も必要です。

マイコプラズマ・ウレアプラズマ細菌

マイコプラズマ・ウレアプラズマ細菌

マイコプラズマは、マイコプラズマ・ジェニタリウムという病原体によって引き起こされる性感染症です。尿道炎や子宮頸部炎、卵管炎などの炎症が起こることがあります。ウレアプラズマは、ウレアプラズマという病原体によって引き起こされる性感染症です。尿道や子宮頸部、膣などの粘膜に感染し、炎症を引き起こすことがあります。

両者も性行為によって感染することが一般的ですが、感染者が無症状であることも多いです。一部の感染者では尿道炎や膣炎の症状が現れることがありますが、多くの場合は無症状であるため、検査を受けることによって初めて発覚する人も多くいます。

陽性の場合、抗生物質による治療が一般的ですが、1次治療でなかなか完治しないこともあるため2次治療、3次治療と進むこともあります。なかなか陰性化しないことで検査の回数が増え、時間と費用を要するため心身共にすり減らす原因となることもあります。

それが故にパートナーとの亀裂の原因となってしまうこともありますが、いつどこからもらったか判断がつきにくいこともあるため、マイコプラズマ、ウレアプラズマに関しては、症状がなければ神経質になる必要はないと考えます。

最近では検査が独り歩きしているケースも見られます。陽性と出てしまったら治療せずにはいられない気もしますが、症状がないのにやたらと検査をする必要もないと考えます。
現在ウレアプラズマに関しては自費による検査のみです。

検査 おりもの検査で調べます。ウレアプラズマに関してはおりものを採取し培養にて検査しますが、保険適応がないため自費4000円となります。

治療

①シタフロキサシン(STFX)50㎎ 2錠1回 1日2回7日間 キノロン系 ②アジスロマイシン(AZM)250㎎ 4錠1回 1日1回 マクロライド系 ③クラビット(レボフロキサシンLVFX)500㎎ 1回1錠 1日1回 7日間 ニューキノロン系 ④ビブラマイシン(ドキシサイクリンDOXY)100㎎ 1回1錠 1日2回 7日間 テトラサイクリン系

治療効果判定は2-3週間後に再検査します。
多剤耐性菌に対しては、注射・点滴による治療が必要な場合もあります。

ヘルペスウイルス

ヘルペスウイルス

ヘルペスウイルスは、HSVによって引き起こされる感染症です。性器ヘルペスや口唇ヘルペスが一般的であり、発疹や潰瘍が現れます。ヘルペスウイルスは性行為や密接な接触によって感染しますが、一度感染すると体内に半永久的に潜み再発することがあります。

大概は初感染が最も症状が強く、陰部に水泡を伴う丘疹、潰瘍ができ強い痛みを伴います。全身に症状が出現し熱が出ることもあります。オーラルセックスなどによる喉への感染で咽頭痛を生じることもあります。

妊娠に関する注意点としては、出産の時に性器ヘルペスを発症している場合には、産道感染により、新生児ヘルペスを発症する場合があるため注意が必要です。出産の時に初めてヘルペスに感染した場合はリスクが最も高いです。

そのため、若いころに性器ヘルペスにかかったことを妊娠の時に過度に心配する必要はありませんが、出産の時に外陰部に病変がある場合には帝王切開となることがあります。

検査 見た目で水泡性の潰瘍ができている場合にはヘルペス感染を疑います。
検査として簡易迅速検査キットもありますが、再発などの場合にはウイルス数が少ないと陽性と出ないことも多いため、あまり使用せずに治療を先行する事も多いです。

治療

①バルトレックス(後発バラシクロビル)500㎎ 1回1錠1日2回 5日間 ②ビダラビン軟膏 ③再発抑制療法(1年に6回以上再発する人)
バルトレックス(後発バラシクロビル)500㎎
1回1錠1日1回 1年間

再発抑制療法は1か月に1回通院していただき、内服状態と再発がないか確認していきます。

尖圭コンジローマ

尖圭コンジローマ

ヒトパピローマウイルス6型、11型によって引き起こされる性感染症です。鶏冠状のイボが外陰部に出現します。性行為によって感染しますが、最近のワクチン(ガーダシル4価、シルガード9価)には予防効果があります。
治療をしても、3か月後の再発率が最も高いことから、定期的なフォローアップが大切です。

検査 見た目で判断します。

治療

①べセルナクリーム 1日1回 週3回就寝前に塗布 4~16週間塗布 ②外科的切除

クリーム塗布で改善ない場合は、液体窒素による凍結方法や、蒸散術、電気メスによる切除などの外科的切除が必要となります。当院ではクリーム塗布で改善ない場合には切除可能施設は紹介となります。

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