生理じゃないのに出血が...
不正出血とは
不正出血とは、月経以外の時期に性器から出血がみられることを指します。量は少量の茶色いおりものから、生理のようにしっかりとした出血までさまざまです。多くの場合は良性の変化によるものですが、中には治療が必要な病気が隠れていることもあります。
調べてみても、不正出血を経験したことのある女性は40-65%近くいます。
これは定義や調査の仕方が一定でないため、数値として出すのが難しいのもありますが、多くの女性が経験したことがあると言える事象です。
主な原因
ホルモンバランスの乱れ | 思春期や更年期、ストレスや生活習慣の影響で排卵がうまく起こらないと不正出血が出やすくなります。 |
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妊娠・出産に関連するもの | 妊娠初期の出血や稽留流産、切迫流産、出産後の不正出血など。 |
感染症(性感染症を含む) | クラミジア、淋菌、梅毒などによって炎症が起こり出血することがあります。 |
子宮や卵巣の病気 | 子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮内膜症などの良性疾患や、子宮頸がん・子宮体がんといった悪性疾患も原因となることがあります。 |
薬の影響 | ピルやホルモン治療薬の副作用として不正出血が起こることがあります。 |
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受診が必要なサイン
出血が繰り返し続く 出血量が多い、または血の塊が出る 強い下腹部痛や発熱を伴う 閉経後に出血がある -
診断と検査
超音波検査 子宮頸がん検査(細胞診) 子宮体がん検査 血液検査(ホルモン、感染症など)
治療について
原因によって対応は異なります。
ホルモンの乱れ | ピルやホルモン剤で調整 |
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良性腫瘍 | 薬物療法、手術または経過観察 |
悪性腫瘍 | 早期発見・早期治療が重要 |
不正出血の症例別対応例
不正出血の要因は様々です。下記によくある症例ごとの不正出血の対応について説明します。
頸管ポリープによる不正出血
40歳女性- ここ半年くらい不正出血があったりなかったりを繰り返しています。不正出血と言ってもすごく多いわけではありません。性行為があった時などにも軽い出血があっりします。痛みなどは特にありません。
医師- 腟内を観察すると、頸管ポリープ5mmを認めました。その場でねじ切り切除します。とった検体は病理に提出します。
ピル使用中の偽薬期間以外の不正出血
28歳女性- 生理痛がひどくて、先月ピルを開始しました。1シート目の2列目から少量の出血がありました。そのまま出血が続いており、偽薬のところまできました。2シート目になる頃には出血は収まりました。
医師- ピルによるマイナートラブルで、不正出血はよくあります。特に1シート目は起こりやすいので、飲み続けてください。2、3シート目になっても出血が続く場合は、ピル以外による不正出血としてエコーや性感染症検査、頸癌検診などを行いましょう。
生理が終わって1週間くらいしたところでの不正出血
25歳女性- 最後の生理が始まったのは2週間前くらい。最近お腹がちくちくと痛いような感じがあり、不正出血が2~3日続いています。生理3~4日目くらいの出血量。今までこういうことはなかったので不安で婦人科を受診しました。
医師- 時期としては排卵期の出血の可能性が高いです。排卵期はエストロゲンが下降するところで生理的消退出血が起こりやすいためです。出血量が多い場合には、プラノバールという中等量のピルを使って内膜をきれいに剥がしてあげることで出血が収まることが多いです。
PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)による不正出血
32歳女性- 元々生理不順があり、1か月生理が遅れるなんてことはよくあります。1週間前くらいから不正出血があり、ずっと出血が続いています。
医師- 背景に多嚢胞性卵巣症候群があると、卵巣機能不全により、生理2週間過ぎくらいからだらだらと出血が続くことがあります。この場合もプラノバールという中容量のピルを使用して内膜をリセットしてあげると出血が収まることがあります。
萎縮性膣炎による不正出血
75歳女性- ずっと生理なんてなかったんだけど、最近おりものに少し血がまざったようなものが出る。なにか異常でもあるのかと思って来院しました。
医師- 女性ホルモンが減ってくると腟内の粘膜が乾燥しやすくなり、炎症性に出血を起こすことがあります。このような場合には女性ホルモンの膣剤が効きます。
その他多くはありませんが、閉経後の出血では子宮体癌が潜んでいることや長く続く不正出血の場合には、性感染症や、その他の悪性腫瘍などの可能性もあります。おかしいな不安だなと思った場合にはいつでもご相談ください。
女性の場合には、「20歳以上」「性交経験あり」の方は子宮頸がん検診を2年に一回は必ず受けてください。その際に問診内容から別の病気も一緒に見つかる可能性もあります。
早期発見早期治療を目指しましょう。
よくある質問
- 不正出血はどれくらい続いたら受診した方がいいですか?
- 2~3日程度で自然に止まる場合もありますが、1週間以上続く、出血量が多い、閉経後に出血がある場合は早めに受診してください。
- ピルを飲み始めて出血があります。大丈夫ですか?
- ピル開始直後(特に1シート目)はよくある副作用です。そのまま服用を続けて問題ありませんが、2~3シート目でも続く場合は婦人科を受診し、超音波検査や頸がん検診を受けましょう。
- 閉経後の不正出血はどんな病気が考えられますか?
- 萎縮性膣炎など良性のこともありますが、子宮体がんや子宮頸がんの可能性もあるため、必ず検査が必要です。
- 排卵期出血は放っておいていいですか?
- 排卵期の少量出血は生理的なものですが、出血量が多い、痛みを伴う場合はホルモン異常や子宮内膜症の可能性もあるため、受診をおすすめします。
- 不正出血の検査では何をしますか?
- 問診・内診・超音波検査が基本です。必要に応じて頸がん検診、子宮体がん検査、性感染症検査、ホルモン検査を行います。
まとめ
不正出血はよくある症状ですが、安心できる原因から重大な病気まで幅広く考えられます。
気になる出血が続くときは自己判断せず、婦人科にご相談ください。