VOL.36 帝王切開後の出産方法「TOLAC」「VBAC」とは?──院長の体験談とともに

こんにちは。Mieruレディースクリニック院長の柴田です。
実は私自身、約1か月前に【帝王切開】で出産しました。
今回は「TOLACにチャレンジしたけれど、陣痛が来ず予定帝王切開になった」という私の実体験を交えながら、「VBAC」や「TOLAC」について詳しく解説します。
VBACとは? 帝王切開後の自然分娩
VBAC(ブバック)は「Vaginal Birth After Cesarean」の略で、日本語では「帝王切開後の経腟分娩」と訳されます。
一度帝王切開をした方でも、次の出産で経腟分娩(自然分娩)に挑戦する選択肢のことです。
VBACには、以下のようなメリットがあります。
母体への負担が少ない(開腹手術を避けられる)
回復が早い
次の妊娠への影響が少ない可能性がある
一方で、子宮破裂のリスクなどがあるため、慎重な管理が必要です。
TOLACとは? VBACに挑戦するための「試験的分娩」
TOLAC(トーラック)は「Trial of Labor After Cesarean」の略で、「帝王切開後の試験的経腟分娩」を意味します。
要するに、「自然に陣痛が始まれば経腟分娩にトライし、途中でリスクがあればすぐに帝王切開へ切り替える」という方針の出産方法です。
私自身、今回TOLACにチャレンジしていました。
・経腟分娩への希望があり
・医学的にも条件がそろっていたため
・病院としても管理が可能であるという判断でした
しかし、予定日を過ぎても陣痛が来ず、子宮口の開きも進まなかったため、結果的に予定帝王切開となりました。
TOLAC/VBACの条件とリスク
VBACが可能となる条件は、以下のような点が挙げられます:
前回の帝王切開が横切開(クラシカルではない)
子宮の傷が1回のみで、複数回の帝王切開歴がない
胎児の推定体重が大きすぎない(おおよそ3,500g以下が望ましい)
妊娠経過に大きな異常がない
分娩を管理できる病院である
また、リスクとしては、
子宮破裂(非常にまれですが緊急事態)
分娩中の異常で緊急帝王切開となる可能性
胎児の状態が急変する可能性
などがあります。
TOLACにチャレンジする意味と私の想い
実際に医師としてだけでなく「母」としてTOLACに挑戦したことで、あらためて自然な出産への想いや女性の選択肢の大切さを深く感じました。
結果的には帝王切開でしたが、「陣痛を待ち、体と赤ちゃんに任せてみよう」という過程そのものが、私にとってとても意味のある体験でした。
最後に:VBACやTOLACを希望する方へ
VBACやTOLACを希望される方は、妊娠中から主治医としっかり相談し、自分自身の希望・リスク・医療機関の体制を理解したうえで進めることが大切です。
Mieruレディースクリニックでも、出産に関する様々なご相談を承っています。
「一度帝王切開だったけど、次は自然分娩にトライしたい」
そんなお気持ちがある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
監修医師の紹介

Mieruレディースクリニック
院長 柴田 あずさ
日本産科婦人科学会専門医として産婦人科の病院・クリニックで研磨を重ね、2023年5月にMieruレディースクリニックを開業