VOL.37 産後うつは誰にでも起こり得ます!

― 院長として、そして一人の母として伝えたいこと ―
こんにちは。
Mieruレディースクリニック院長の柴田です。
当院には、妊娠・出産を経た多くの悩みを持つ女性が来院されますが、その中でも「産後の心の不調」について相談を受けることがあります。
出産は人生の中でも特別な出来事ですが、その直後に心のバランスを崩してしまう方は少なくありません。
実は私自身も、出産後しばらくは気持ちが沈むことがありました。
「このままで大丈夫かな」母親としても仕事との両立に悩みました。
産後うつとは?
産後うつ(産後うつ病)は、出産後の女性の約10〜15%が経験するとされている心の病気です。
一時的な気分の落ち込みや不安感は多くの方に見られますが、それが日常生活に支障をきたすレベルにまで達することがあります。
症状としては以下のようなものがあります:
強い気分の落ち込み
意欲の低下、興味の喪失
睡眠障害(眠れない/寝すぎる)
食欲の変化
赤ちゃんに愛情を感じにくい
自分を責めてしまう など
出産直後のホルモンバランスの変化、慣れない育児、睡眠不足、孤独感など、さまざまな要因が重なって起こるのです。
産後の自分の状態を知るための「エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)」というものがあります。大概1か月検診の時などに質問票へ記入を求められます。
これは10項目の質問に答えることで、現在のメンタル状態をスクリーニングできる信頼性の高いツールです。
合計スコアが10点以上の場合、産後うつの可能性があるとされ、専門的な支援を検討します。
実際に、このチェックによって「気づいていなかった不調」が明らかになり、早期にケアにつながることも多いです。
さてそこで
外に出られないママたちへ――オンライン診療のすすめです。
産後の時期は、なかなか外に出づらいもの。
心身の不調がある時はなおさらです。
そこで、私が強くおすすめしたいのがオンライン診療です。
【オンライン診療のメリット】
ご自宅から受診できるため、赤ちゃんを抱っこしたままで相談可能
他の患者さんと接触しないため、安心して受けられる
ちょっとした気持ちの変化も気軽に話せる
継続的なフォローがしやすく、必要時には対面診療へもつなげられる
実際、オンラインによる心理的支援は産後うつの症状を軽減する効果があるとした研究もあり、特にコロナ禍以降、海外でも注目されています(例:2021年発表、Lancet Psychiatry誌など)。
院長として、そして一人の母として
私は医師として「大丈夫ですよ」と言うだけでなく、
母親として「私もそうだったよ」と言える存在でいたいと思っています。
「涙が止まらない」「誰にも言えない」そんな気持ちがあるときは、ぜひ一度オンラインでお話してみてください。
診察というよりも、"心の荷物を一緒に整理する時間"と考えていただいて大丈夫です。
監修医師の紹介

Mieruレディースクリニック
院長 柴田 あずさ
日本産科婦人科学会専門医として産婦人科の病院・クリニックで研磨を重ね、2023年5月にMieruレディースクリニックを開業