VOL. 39 新しい避妊薬「スリンダ」が承認されました

VOL. 39 新しい避妊薬「スリンダ」が承認されました

〜エストロゲンに不安がある方へ、避妊の新たな選択肢〜
こんにちは。Mieruレディースクリニック院長の柴田あずさです。
2025年5月、日本で初めてプロゲステロン単剤の経口避妊薬「スリンダ(一般名:ドロスピレノン)」が日本で承認されました。
これは、日本の避妊医療の中でも大きな前進であり、女性自身が避妊法を主体的に選ぶ上での新たな選択肢となります。
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◆ スリンダとは?
スリンダは、エストロゲンを含まず、プロゲステロン(黄体ホルモン)のみを有効成分とした経口避妊薬です。
避妊効果としては、排卵の抑制、子宮内膜の変化、頸管粘液の粘性上昇により妊娠を防ぎます。
欧米ではこのタイプの薬剤は広く使われており、患者さんの間では「ミニピル(mini pill)」という愛称で呼ばれることもあります。ただし、「ミニピル」という表現は医学的な分類用語ではなく、患者さんに親しまれている俗称であることには注意が必要です。
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◆ 医師として注目したい点
エストロゲンを含まないことの利点
従来の低用量ピル(ファボワールやラベルフィーユなど)にはエストロゲンが含まれており、
•喫煙者
•高血圧
•肥満
•45歳以上
•血栓症のリスクがある方
などには慎重投与または禁忌となる場合があります。
その点、スリンダのようなプロゲステロン単剤は、これまでピルを使えなかった方にも新たな選択肢となる可能性があります。

◆ 避妊と感染症予防は"別物"として大切に考える
スリンダをはじめとする経口避妊薬は、女性自身が妊娠の可能性をコントロールできる有効な手段の一つです。
しかし、経口避妊薬は性感染症の予防には効果がありません。
ここで改めてお伝えしたいのは、コンドームの役割の重要性です。
コンドームは、性器同士の粘膜接触を防ぐ唯一の避妊法であり、HIV・クラミジア・淋菌・梅毒などの性感染症を予防するうえで非常に大切な役割を果たします。
近年、特に若年層での梅毒の感染が増加していることが話題となっており、
「ピルを飲んでいるから大丈夫」という誤解が広がることで、コンドームの使用率が下がる傾向も一部で指摘されています。
経口避妊薬とコンドームは、目的も役割も異なる医療的手段です。
だからこそ、**併用することで妊娠と感染の両方を防ぐ"ダブルプロテクション"**という考え方が非常に重要です。
避妊や感染症予防は、誰か一方に責任を押しつけるものではなく、パートナーと共に考え、選び、守るべきことです。

Mieruレディースクリニックでは、経口避妊薬の相談はもちろん、性感染症の検査やパートナーとの向き合い方についても丁寧にお話をうかがいます。
どうぞお気軽にご相談ください。

また、スリンダに関しては経口避妊薬になります。月経困難症がある方は保険診療の適応がありますので、そちらに関してもお気軽にご相談ください。

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監修医師の紹介

Mieruレディースクリニック院長柴田あずさ

Mieruレディースクリニック
院長 柴田 あずさ

日本産科婦人科学会専門医として産婦人科の病院・クリニックで研磨を重ね、2023年5月にMieruレディースクリニックを開業

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